混合ワクチンについて
ワクチン接種は、感染してしまうと治療が困難な伝染病を予防するために行う注射です。
ワクチンで予防できる伝染病には、高い確率で死亡するような恐ろしい病気も含まれていますので、大切なワンちゃん・ネコちゃんを守るためにも、定期的な予防接種を受けることが大切です。
当院ではワクチン接種後の副作用に迅速に対応できるよう、午前中のご予約をご提案しています。
午前中のご来院が難しい場合には午後1番のご予約などで対応いたしますのでご相談ください。
ご自宅に戻ってから、顔が腫れたり呼吸が苦しくなったりするなどの症状が見られた場合にはすぐに当院までお知らせください。
混合ワクチンの種類
当院では犬6種混合ワクチン・8種混合ワクチン
混合ワクチンで予防できる感染症(犬)
犬6種:犬パルボウィルス感染症、犬ジステンパーウィルス感染症、犬パラインフルエンザ
犬伝染性肝炎、犬アデノウィルス2型感染症、犬コロナウィルス
犬8種:上記に加え、レプトスピラ2種
犬6種:
犬パルボウィルス感染症、犬ジステンパーウィルス感染症、犬パラインフルエンザ、犬伝染性肝炎、犬アデノウィルス2型感染症、犬コロナウィルス
犬8種:
上記に加え、レプトスピラ2種
混合ワクチンで予防できる感染症(猫)
猫3種:猫汎白血球減少症(猫パルボ)、猫カリシウィルス感染症
猫ウィルス性鼻気管炎
猫4種:上記に加え、猫白血病
猫3種:
猫汎白血球減少症(猫パルボ)、猫カリシウィルス感染症、猫ウィルス性鼻気管炎
猫4種:
上記に加え、猫白血病
どのワクチンを打ったらいいか分からないという場合には、遠慮なくスタッフまでご質問ください。
現在、当院ではネコちゃん用の混合ワクチンとして、3種混合・4種混合ワクチンをご用意しています
3種混合ワクチンはネコ風邪の原因とされる「猫ウイルス性鼻気管炎」や「猫カリシウイルス感染症」とともに、重症化率の高い「猫汎白血球減少症」の予防が可能です
これに加え、4種混合ワクチンには「FeLV 猫白血病」と呼ばれる、命に係わる病気の予防が含まれています
通常、室内飼育ではFeLVの感染リスクは低いため、3種混合ワクチンの接種をおすすめしていますが2歳未満の子ネコちゃんに関しては免疫力が整っていないためFeLVを含む4種混合ワクチンをご提案しています
当院がFeLV 猫白血病の予防をおすすめする理由
その1
子ネコの10頭に1頭はワクチンで予防できる感染症で死亡している※1
表題のとおり、ワクチンで予防可能な感染症で死亡する子ネコは10%にも上ります
母親から受け継いだ移行抗体はいつまで効力を発揮するか不安定なものですので早期からの予防接種をおすすめいたします
また、1歳未満の子ネコの死亡原因の40%以上は感染症です
ワクチンで予防できない感染症も多くありますが、寄生虫疾患などは投薬で治療することもできます
ネコちゃんの飼育を始めたら、なるべく早いうちにかかりつけの病院を見つけましょう
その2
子ネコはFeLV感受性が高い
攻撃試験により持続感染が成立した子ネコの割合はなんと100%!
試験を行った全頭で持続感染が成立するほど、子ネコはFeLVに対して無防備です※2
その3
FeLVは他猫ごとじゃない
動物病院に来院している2歳齢のネコのFeLV陽性率は10%※3
週1回以上外出するネコの21.6%が陽性となっています※4
元ノラちゃんはお外に出る機会も多くなりがちなので、室内飼育を心がけましょう
FeLVの感染リスクは思っているよりも身近に潜んでいます
下記リストに1つでも当てはまるネコちゃんにはFeLVを含むワクチン接種をおすすめします
- 外に出るのが好き
- 庭やベランダに出ることがある
- 外に出る猫との接触がある
- 若い(2歳未満)
主な感染経路
- 猫同士のグルーミングを含むスキンシップやケンカ
- 食器の共有など
特に昨今では自然災害などにより避難所生活を余儀なくなれる場合も存在します
そんなとき、予防状況の分からない子との間接的な接触も懸念されます
「移さない」「移らない」ためにも、しっかりとした予防をおすすめいたします
※1 アニコムホールディングス:猫統計Vol4、子猫と老齢猫、Felis02、1-11、アニマルメディア社、2011
※2 ベーリンガーインゲルハイム:ピュアバックス 承認申請資料
※3 相馬武久:わが国の家猫における猫免疫不全ウイルス、猫白血病ウイルス、猫コロナウイルスおよびトキソプラズマの最新感染状況、Felis09、104-111、アニマルメディア社、2016
※4 西垣一男:ネコレトロウィルスの変異と進化、新たなウイルス出現と病原性発現機構の解析、研究成果報告書、科学研究費助成事業、2013
混合ワクチンの接種時期
1歳以上の子に関しては基本的に1年に1回のワクチン接種で予防効果を維持できますが、幼齢期に関してはやや複雑です。
仔犬・仔猫の小さな時期は、病気に対する抵抗力と母親から受け継ぐ移行抗体の持続期間を勘案しワクチンプログラムを組み立てることが大切です。
仔犬・仔猫の場合、母親からの初乳を介して、母親の持つ免疫を摂取します(これを移行抗体と呼びます)この免疫は生後1~4ヶ月の間で徐々に低下していき無防備な状態になっていきます。この免疫が低下する時期を見計らってワクチン接種をすることにより、免疫力を高め、病原体を感染させない、あるいは感染しても重症化させない体づくりをするのです。
しかしながら、移行抗体の少なくなる時期には個体差があるため、幼齢期のワクチン接種は、2ヶ月齢を超えたころから1ヶ月ごとに複数回にわたって行い、4ヶ月齢を超えたころに最終接種ができるのが理想です。
飼い始めの予防は覚えることも多いので、ご不安があれば遠慮なくお尋ねください。
ワクチンの副作用
接種直後(数分~30分以内)
アナフィラキシーショック(急性の虚脱、呼吸困難、体温低下、けいれん)など
生死に関わることがあります
接種後72時間以内
顔面浮腫(ムーンフェイス)、発疹、消化器症状(食欲不振、嘔吐、下痢)など
接種後1週間
接種部位にしこり ※通常は時間経過とともに退縮します
接種後3ヶ月~2年
注射部位肉腫(猫のみ)※外科切除が必要です
アナフィラキシーショックは人の花粉症と同様に、いつ起こるかが分かりません。「今まで大丈夫だったから今年も大丈夫」とは言えないのです。
また、注射部位肉腫を除き、発症時間が早ければ早いほど症状は重篤なことが多いです。そのため、接種後しばらくは院内で様子を見ていただくことをおすすめしています。状況の急変が起こった場合は、すぐにお知らせください。